起きて最初の一歩、かかとに走る痛み

2026年08月28日

横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。朝、布団から出て床に足をつけたとたん、かかとにピリッとした痛みが走る。そんな朝を繰り返していませんか。少し歩けば和らぐのに、長く座ったあとや、一日の終わりにまた同じ場所が痛む。今日は、そんな足の裏の痛み「足底腱膜炎」について、2025年に発表された研究をもとにお話しします。夏場は冷房の効いた室内で過ごす時間が長くなり、下半身が冷えて足元の不調が出やすいタイミングでもあります。

足の裏に痛みが出る「足底腱膜炎」について

足の裏には、かかとから指の付け根まで扇状に広がる「足底腱膜」という丈夫な膜があります。歩くたびに体重を受け止め、着地の衝撃をやわらげる、いわば足元の土台のような組織です。この土台に疲れがたまり続けると、かかと側の付着部にこわばりや痛みが出てくることがあります。東洋医学の考え方では、こうした状態を単なる足の問題としてではなく、下半身全体の巡りや、日々の疲れの蓄積として捉えます。特に、冷えを感じやすい方、立ち仕事や家事で一日中動き回っている方からのご相談が多い印象です。

こんな痛み方に心当たりはありませんか

  • 朝起きて最初の一歩でかかとがズキッとする
  • 長時間座ったあと立ち上がると、かかとに痛みが走る
  • 一日の終わりに足の裏全体が重だるくなる
  • 冷えるとかかとの痛みが強く感じられる
  • 土踏まずから足首にかけて張りを感じる
  • 湯船に浸かった日は少し楽になる気がする
  • 夕方になると足全体がむくんで痛みが増す

これらは、身体からの小さなサインとして受け止めていただきたい変化です。たとえば、一日中厨房に立って調理をされている40代の女性や、子育てと家事で座る間もなく動き回っている30代の方からも、こうしたかかとの痛みのご相談をよくいただきます。デスクワークで一日中座り、休日にまとめて家事や買い物を済ませるという生活を送る方からも、似たようなお悩みを伺うことがあります。

東洋医学からみた足元の状態

東洋医学では、足は全身の気血が集まる末端の部位とされています。冷えや疲労が続くと血の巡りが滞りやすくなり、足先まで栄養が行き渡りにくくなる。すると組織の回復が追いつかず、かかと周辺にこわばりとして表れやすくなるのです。とはいえ、東洋医学的な視点だけでこの状態を語るのは十分ではないと当院では考えています。西洋医学の研究データもあわせて参考にしながら、お一人おひとりに合ったケアを組み立てることを大切にしています。2025年、学術誌Physical Therapyに掲載された研究では、足底の痛みを持つ患者を、通常の足のケアのみを受けるグループと、それに理学療法的な関わり(手技によるアプローチ、運動の指導、生活面のアドバイス)を組み合わせたグループとに分け、3年という長期にわたり医療費や仕事への影響、生活の質を示す指標を調べています。その結果、組み合わせたグループのほうが、通院や仕事への影響といった負担が少なく、生活の質を示す指標も高く保たれる傾向が確認されました。巡りを整える視点と、こうした継続的なケアの積み重ねは、どちらも足元の状態を支える大切な柱だと当院では考えています。

姿勢や日々の暮らし方との関係

立ち仕事が多い方、冷房の効いた場所で長時間過ごす方、湯船に浸からずシャワーだけで済ませることが多い方は、下半身が冷えやすく、血の流れが滞りがちです。加えて、ふくらはぎが硬いまま歩き続けると、着地のたびの衝撃がやわらぎにくくなり、かかとへの負担がじわじわと積み重なっていきます。姿勢が前かがみになりがちな方も、重心が前方に偏ることで足底への荷重が増える傾向にあります。冷えのぼせや肩こりなど、足以外の不調をあわせてお持ちの方も少なくありません。また、忙しさのあまり食事の時間が不規則になり、身体を回復させる力そのものが弱まっているように見受けられる方もいらっしゃいます。日々の小さな積み重ねが、足元の状態にも表れてくるのです。

そのままにしていると起こりやすいこと

かかとの痛みを我慢して歩き続けていると、痛む場所をかばう歩き方が身についてしまいます。すると膝や腰など、別の部位にまで負担が広がることがあります。ある患者様は、最初はかかとの違和感だけだったものが、数ヶ月かけて膝の内側にまで張りが広がってしまったとお話しされていました。また、身体の声を聞かずに過ごす時間が長くなるほど、冷えや滞りも慢性化しやすく、回復までに時間がかかるようになってしまいます。忙しい毎日の中では、足元の違和感は後回しにされがちですが、小さな不調のうちに向き合うことで、回復にかかる時間も変わってくると当院では考えています。

ご自宅でできる簡単なチェックと養生

座った状態で痛みのある側の足の指を軽く手前に反らせてみてください。土踏まずからかかとにかけて突っ張るような痛みが出る場合は、足底腱膜に負担がかかっているサインのひとつです。あわせて、足首を回したときの硬さや、ふくらはぎを触ったときの張り感、足の甲やすねの冷たさも確認してみてください。左右で明らかに違いを感じる場合は、我慢せずに一度お身体を診せていただければと思います。東洋医学の養生としては、湯船にゆっくり浸かって下半身を温めること、寝る前に足首を軽く回すこと、冷たい飲み物を控えて身体の内側から冷やさないようにすることなどが、足元の状態を整える助けになると考えられています。忙しい方は、寝る前の数分だけでも構いません。無理のない範囲で続けることが、結果的に大きな変化につながっていきます。

はくさん和鍼灸整骨院での向き合い方

当院では、まず歩き方や足首・ふくらはぎの状態、冷えの有無やお身体全体の巡りの様子などを丁寧に確認します。そのうえで、手技によるアプローチと鍼灸を組み合わせながら、下半身全体の巡りを整えることを意識したケアをご提案しています。ご自宅でできる温めのケアや、足裏をゴルフボールなどで転がすセルフケア、就寝前にできるふくらはぎのストレッチもあわせてお伝えし、身体の状態に応じて無理のないペースで続けていただけるよう心がけています。

鍼灸については、かかと周辺だけでなく、足首やふくらはぎ、時には腰や股関節まわりのツボもあわせて用いることがあります。局所の状態だけを追いかけるのではなく、下半身全体、ひいては身体全体のバランスを見ながらケアを組み立てていくことを大切にしています。通っていただくペースも、はじめのうちは短い間隔で状態を確認しながら、落ち着きに応じて少しずつ間隔を広げていく形が中心です。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。強い腫れやしびれ、体重をかけられないほどの痛みがある場合は、別の原因が隠れている可能性もあるため、その旨をお伝えします。

気になる方へ

「疲れが溜まっているだけ」と見過ごされがちな足の痛みですが、身体は小さなサインを通して不調を教えてくれています。朝の一歩目の痛みが続いている、足元の冷えが気になるという方は、我慢を重ねる前に、一度お身体の状態を確認させてください。

おわりに

足底腱膜炎は、足元だけの問題ではなく、冷えや姿勢、日々の疲労の蓄積が絡み合って起こることの多い状態です。今回ご紹介した研究からも、通常のケアに継続的な関わりを重ねることで、より安定した経過につながる可能性がうかがえます。身体の声に耳を傾けながら、足元から整えていくお手伝いを、これからも続けてまいります。白山周辺にお住まいの方も、少し離れた場所からお越しの方も、それぞれの生活のペースに寄り添いながら向き合っていきたいと思っています。

参考文献

McClinton SM, Heiderscheit BC, Flynn TW, Pinto D.「Cost-Effectiveness of Physical Therapist Treatment in Addition to Usual Podiatry Management of Plantar Heel Pain: Economic Evaluation of a Randomized Clinical Trial」Physical Therapy (PTJ)、2025年。

URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41042252/

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