関節の重だるさや動かしにくさ─ 変形性関節症と、手技×運動で巡りを取り戻す身体のはなし

2026年06月27日

横浜市白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。

朝起きたときに、膝や股関節がなんとなく重い。以前より動かしにくい気がする。特に何かしたわけでもないのに、じわじわと不快感が続いている──そんな経験をお持ちではないでしょうか。

このような「重だるさ」や「動かしにくさ」は、東洋医学的な視点からみると、身体の気血の巡りが滞り、関節まわりの組織に十分な栄養と潤いが届きにくくなっているサインと捉えることができます。

現代医学においても、関節の可動域低下や慢性的な不快感は、変形性関節症(OA)の初期から中期にかけてよく見られる状態として知られています。今回は、そうした状態に対して「手技と運動療法を組み合わせること」がどのような意味を持つのか、2022年に発表された信頼性の高い研究を手がかりに、東洋医学の考え方も交えながらお伝えしていきます。

変形性関節症とは何か ─ 関節を包む環境の変化として捉える

変形性関節症は、関節軟骨がすり減り、関節周囲の組織に変化が生じることで、痛みや動きにくさが現れる状態です。膝・股関節に多く見られ、加齢だけでなく、姿勢の偏りや筋力低下、日常の動作パターンのクセなども関わっていると考えられています。

東洋医学では、関節は「筋(すじ)」と「骨」が連なる場所であり、そこには気血が絶えず流れ込み、潤いと温かさを与えていると考えます。加齢や過労、冷えなどによって気血の流れが滞ると、関節まわりの組織が「栄養不足」の状態になり、重だるさや動かしにくさとして現れてきます。

これは現代医学的な「関節液の減少」や「軟骨への栄養供給の低下」とも通じる考え方です。東洋医学と現代医学、それぞれ異なる言葉で語られていても、「関節まわりの環境を整える」という目標は共通しています。当院では、こうした両方の視点を組み合わせながら、一人ひとりの身体の状態を多角的に捉えることを大切にしています。

最新研究が示す「手技+運動」の組み合わせの重要性

2022年、オランダのルンゲ博士らの研究チームが、変形性関節症に対する手技療法の効果を調べた系統的レビュー(SR)とメタアナリシス(MA)を、整形外科・スポーツ理学療法の学術誌「JOSPT(Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy)」に発表しました。

この研究の最大の特徴は、「運動療法単独」と「運動療法+手技療法の組み合わせ」を比較した点です。

分析の結果として報告された内容は、以下の通りです。

  • 手技療法を運動に加えることで、痛みの軽減と機能改善の両方において、運動単独より優れた結果が得られた
  • 特に短期から中期(施術開始から数週間〜数ヶ月)にわたる期間で、その差が明確に認められた
  • 対象は膝関節・股関節の変形性関節症患者で、複数の研究データをまとめた信頼度の高い結論

この結果は、「運動だけでは届きにくい部分に、手技が補完的な働きをする」という可能性を示しており、整骨院での手技と運動を組み合わせたアプローチが、単なる経験則ではなく、科学的な裏付けのある方向性であることを示す研究といえるでしょう。

東洋医学の視点:なぜ「手技」が巡りを助けるのか

東洋医学では、身体への「適切な刺激」が経絡(けいらく)の流れを促し、滞った気血を動かすと考えます。

手技療法で関節まわりの組織にアプローチすると、筋膜や軟部組織の緊張が和らぎ、血液・リンパの循環が改善されやすくなります。これは東洋医学でいう「気血の巡りが整う」状態に近く、関節まわりに潤いと動きやすさが戻っていく感覚として、施術を受けた方が実感されることも少なくありません。

「なんだか身体が軽くなった」「動かすのが怖くなくなった」という言葉をよくいただきますが、それはこうした変化のひとつの表れかもしれません。

さらに東洋医学では「腎」が骨と深く関わると考えます。腎の働きを補うツボへのアプローチは、骨・関節まわりの組織を内側から養うことにつながると伝えられており、鍼灸と手技を組み合わせたケアの中でその意味合いを持ちます。当院では、こうした東洋医学の知恵を施術に取り入れながら、関節まわりの環境を内外から整えることを大切にしています。

「整える」ためのアプローチ ─ 当院でお伝えしていること

はくさん和鍼灸整骨院では、関節の重だるさや動かしにくさに対して、次のような流れでアプローチを組み立てています。

1. 丁寧な状態確認と可動域チェック

どの方向に動かしにくいか、どこに重だるさがあるかを確認します。身体全体のバランスも見ながら、関節に負担をかけている原因を探っていきます。東洋医学的な観点からは、舌診・脈診なども参考にしながら、全身の気血の状態を把握します。

2. 手技によるアプローチ

関節まわりの筋膜の張り、筋の緊張、組織の滑走性の低下に対して、ソフトな手技で整えていきます。東洋医学的な観点からは「気血の流れを促す操作」として位置づけており、身体の自然な回復力をサポートすることを目標にしています。

3. 鍼灸によるアプローチ(必要に応じて)

関節まわりの深層にある組織の緊張や、気血の滞りに対して、鍼や灸を用いたアプローチを組み合わせることもあります。ご希望・状態に応じてご相談します。

4. セルフケアの運動ご提案

研究でも示されているように、手技に加えて運動を取り入れることが大切です。無理のない範囲で続けられる動きをお伝えし、日常生活の中で継続できるようサポートします。

5. 生活習慣・食事・冷えへのアドバイス

東洋医学では、冷えや食の乱れも気血の滞りにつながると考えます。身体を温める食材や、冷え対策の工夫など、日常でできることもあわせてお伝えしています。

継続することの意味 ─ 身体は「積み重ね」で変わっていく

手技や運動による関節ケアは、1回で劇的に変わるというよりも、少しずつ積み重なることで変化が現れてくるものです。

最初は「なんとなく少し楽になった気がする」という感覚から始まり、続けていくうちに「いつの間にか気にならなくなっていた」という変化を実感される方も多くいらっしゃいます。

東洋医学では「養生(ようじょう)」という言葉があります。病気になってから対処するのではなく、日頃から身体の状態を整え、崩れにくい身体をつくっていくという考え方です。変形性関節症のケアにも、この養生の考え方は非常に合っていると感じています。

急に運動をするのではなく、毎日少しずつ。急に食事を変えるのではなく、できることから少しずつ。その積み重ねが、関節まわりの環境を整え、気血の巡りを保つ力になっていきます。

まとめ ─ 重だるさのサインを、身体と向き合うきっかけに

膝や股関節の重だるさ・動かしにくさは、「どうせ年のせい」と放置しがちな症状ですが、早めに関節まわりの環境を整えることが、今後の身体の状態に大きく影響します。

2022年の研究が示すように、手技と運動を組み合わせることで、運動単独よりも痛みや機能の改善に働きかけやすくなることが分かっています。東洋医学的な視点では、気血の巡りを取り戻し、関節まわりに潤いを与えることが「整える」ことの本質と捉えています。

「なんとなく気になっている」「ずっと重だるさがある」そんな方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

参考文献

Runge N, Aina A, Moseley GL, et al. “The Benefits of Adding Manual Therapy to Exercise Therapy for Improving Pain and Function in Patients With Knee or Hip Osteoarthritis: A Systematic Review With Meta-analysis.” Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2022;52(7):515-527. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35881705/

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