膝の奥の重だるさ ─ 変形性膝関節症と全身を巡らせる視点から
2026年05月27日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。
「膝の奥がじんわり重い感じがする」「朝、布団から起き上がるときに膝が動かしにくい」「気温が下がると膝がだるくなる」──そんな身体のサインに気づき始めた方は、少なくないかもしれません。
身体は、バランスが崩れはじめたとき、さまざまな形でそのことを教えてくれます。膝の重だるさや動きにくさも、身体が「ここを整えてほしい」と発しているサインのひとつかもしれません。今回は、変形性膝関節症について東洋医学的な視点もまじえながらお伝えし、身体全体を整えるためのアプローチについても考えていきます。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症とは、膝関節を構成する軟骨や骨に少しずつ変化が生じ、動きや感覚に影響が出てくる状態のことを指します。年齢を重ねるとともに多く見られますが、身体の使い方のくせ・筋力の低下・過去のケガ・体重の増加なども関係していると考えられています。
東洋医学の視点では、こうした膝の状態には「腎」と「肝」の働きとの関わりが深いとされています。「腎」は骨や関節を養うエネルギーの源とされており、加齢とともにその働きが低下すると、膝や腰などの関節が弱りやすくなると考えます。また「肝」は筋肉や腱の柔軟性に関係するとされており、「肝」の巡りが滞ると、関節まわりの筋肉が硬くなりやすくなるとも考えられています。
「変形」という言葉に驚かれる方もいらっしゃいますが、初期〜中等度の段階では、身体の状態を整えていくことで日常の動きの質を支えることが可能です。
こんな状態が続いていませんか
変形性膝関節症に関連して見られることが多い状態の例を挙げます。
- 朝、起き上がった際に膝の動きが固まったような感覚がある
- 長時間座ったあと、立ち上がり始めの数歩がぎこちない
- 階段の下りに不安感や違和感がある
- 天気が悪い日・冷える日に膝がじんわり重くなる感じがする
- 膝の内側や外側の特定の場所を押すと、重だるい感じがある
- 夕方になると膝が疲れやすく、熱っぽい感覚がある
これらの症状は「天気」「疲れ」「体調」によって変わることも多く、東洋医学ではこうした変動性も身体のバランスの乱れとして捉えます。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。膝の腫れが顕著・安静時でも痛みが続くなどの場合は、まず整形外科にご相談されることをお勧めします。
身体が発しているサイン ─ 最新研究の知見と東洋医学の視点から
2025年に権威ある医学誌『BMJ』に掲載されたシステマティックレビュー&ネットワークメタ解析(Yan L et al.)では、変形性膝関節症に対するさまざまな運動アプローチの効果が比較・検証されました。有酸素運動・筋力強化・水中運動・太極拳・ヨガなど複数の運動方法を横断的に評価した大規模な分析です。
いずれのアプローチも安全性が高く副作用が少ないことが示されたうえで、有酸素運動と筋力トレーニングが疼痛・機能において一定の変化をもたらすことが示されています。また、太極拳でも膝の状態改善への関連が報告されています。
東洋医学的な視点と照らし合わせると、太極拳のような「ゆったりとした全身の動き」が膝の状態に関連している点は示唆深いです。東洋医学では、関節の動きを支えるのは「気・血・水」の巡りであると考えます。全身を穏やかに動かすことで、この巡りが促され、滞っていた部分が少しずつ整っていくと捉えることができます。
「膝だけを見る」のではなく、身体全体の流れを整えることが、膝の状態を支えることにもつながる──これが当院の基本的な考え方です。
姿勢や生活習慣が膝に与える影響
東洋医学の視点では、膝の状態は全身の状態の一部として捉えます。現代医学的な視点とも重なる部分が多くあります。
冷えと巡りの停滞
冷えが加わると、膝周辺の血行が滞りやすくなります。「冷えると膝が辛くなる」という方が多いのは、東洋医学的に言えば「寒邪」が身体に入り込み、気血の流れが滞っている状態と捉えることができます。温めることで巡りを促すアプローチが、こうした状態に対応するひとつの視点です。
腰・骨盤のアンバランス
腰や骨盤のバランスが崩れて長く続くと、その影響が膝にまで及ぶことがあります。「腰が曲がってきた」と感じる頃に膝の不調も重なることがあるのは、全身の連動によるものかもしれません。
筋肉の慢性的な疲労の蓄積
足まわりの筋肉が慢性的に疲れた状態になると、膝関節の安定性が低下しやすくなります。特に立ち仕事や長距離歩行を続けている方は、日常的なケアが身体を支える大切な要素になります。
食事・睡眠・ストレスとの関係
東洋医学では、食事の偏りや睡眠不足、過度のストレスが「腎」「肝」の働きを弱め、骨・筋・関節への栄養の巡りを滞らせると考えます。身体の不調は、生活全体のバランスの中に背景があることも少なくありません。身体の声に耳を傾けることが、整えていく第一歩です。
放置することで起こりうること
膝の重だるさを長く放置すると、身体全体への影響が広がっていく可能性があります。
- 膝をかばう歩き方が続くことで、腰・骨盤・股関節の巡りが滞りやすくなる
- 動くことを避けるようになり、全身の気血の流れがさらに停滞しやすくなる
- 筋力が落ちることで膝の安定性が低下し、さらにかばいやすくなる悪循環に入りやすい
- 外出や日常の動きが制限されることで、心身の疲れにもつながりやすくなる
身体の声に耳を傾け、早めに「整える」ことが、長く動ける身体を守ることにつながると考えています。
当院での対応
はくさん和鍼灸整骨院では、膝の不調でご来院される方に対して、以下のようなアプローチを行っています。
身体全体の状態を確認する問診
膝の症状だけでなく、お身体全体の状態・生活リズム・冷えや疲れの傾向などを丁寧にお聞きします。東洋医学的な体質の傾向も含めて確認していきます。
動きと全身バランスの確認
膝の曲げ伸ばしや股関節・足首の動き、立ち姿勢・歩行のバランスを確認します。全身の繋がりを見ながら、どこに滞りがあるかを把握します。
手技・鍼灸によるアプローチ
膝周辺の筋肉・軟部組織へのアプローチ、必要に応じて鍼灸による経絡へのアプローチ、全身の巡りを整えるための施術を組み合わせて行います。
生活・食養生のアドバイス
日常の動作の工夫、温め方のポイント、セルフケアの方法など、生活の中に取り入れられる具体的なアドバイスをお伝えします。
こんな方は一度ご相談ください
- 膝のじんわりとした重だるさ・動きにくさが続いているような症状がある方
- 「冷えると膝が辛くなる」と感じている方
- 身体全体の疲れとともに、膝の不調を感じている方
- 鍼灸も含めた幅広いアプローチで身体を整えたい方
- 「年齢だから仕方ない」と諦めずに、日常を快適に過ごしたい方
お身体の声に耳を傾け、一緒に整えていきましょう。どんなお悩みでも、まずはお話をお聞かせください。
まとめ
膝の重さや動きにくさは、「身体が整えてほしい」と発しているサインかもしれません。2025年に『BMJ』に掲載された研究が示すように、適切な運動アプローチが膝の状態を支える可能性があることは、東洋医学の「動かすことで気血の巡りを促す」という考え方とも重なります。
はくさん和鍼灸整骨院では、身体全体を丁寧に診ながら、手技や鍼灸を組み合わせてアプローチしています。膝のことでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
Yan L, et al. “Comparative efficacy and safety of exercise modalities in knee osteoarthritis: systematic review and network meta-analysis.” BMJ. 2025. PMID: 41093618. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41093618/


