肩の動かしにくさや重だるさは ─ 上腕骨近位部骨折後と、巡りを取り戻すためのはなし
2026年06月24日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。
「肩を骨折してから、腕が上がりにくくなってしまった」「固定が終わったのに、なんとなく肩が重たく、動かすたびに違和感がある」── 身体がそっとサインを出しているかもしれません。
今回は、上腕骨近位部骨折(肩の付け根あたりの骨折)と、その後の肩の動きの回復について、最新の研究の知見とともに、東洋医学的な視点もあわせてお伝えしていきます。
上腕骨近位部骨折とは?
上腕骨近位部骨折とは、腕の骨(上腕骨)の肩に近い部分が損傷した状態のことを指します。転倒して手をついたときや、肩を直接打ちつけたとき、またスポーツ中の激しい動作などで生じることがあります。特に骨密度の変化しやすい中高年以降の方に多く見られますが、若い方にも起こりうるものです。
骨折後は医療機関での固定や安静が必要になりますが、固定期間が終わったあとも「肩が思うように動かない」「腕を使うたびに重さやこわばりを感じる」という状態が続くことがあります。
東洋医学の観点から見ると、骨折を経験した身体は「血(けつ)の巡り」が滞りやすい状態にあると考えます。骨と周辺組織の回復を支えるためには、気血の流れを整え、患部とその周囲に栄養と潤いを届けることが大切だと捉えています。
よく見られるサインと特徴
- 肩を動かすときに「つかえる」「引っかかる」感じがある
- 腕を頭の上まで上げようとすると、痛みや強い張りが出る
- 固定が終わってからも、肩から腕にかけての重だるさやこわばりが続いている
- 患側(骨折した側)をかばうようにして、反対の肩や首にも張りが出てきた
- 「また痛くなるのでは」という不安が抜けず、腕を使うことを避けるようになってきた
こうした状態は、身体が「もっと丁寧に整えてほしい」と伝えているサインかもしれません。
原因として考えられる状態:最新研究の知見
2024年に医学誌「Disability & Rehabilitation」に掲載されたシステマティックレビューでは、上腕骨近位部骨折の非手術的治療において「早期リハビリ(受傷後1週間以内から開始)」と「従来の固定療法(3〜4週間の固定後から開始)」を比較した研究が複数検討されています。
この研究では、早期リハビリを開始した群では、骨折後初期の肩の機能回復や痛みの変化において、より早い段階での変化が報告されています。また、早期に動き始めても合併症が増えることはなかったとされており、適切なタイミングと方法で身体を動かし始めることの安全性が示されています。
現代医学がこうした知見を積み上げる一方、東洋医学では古くから「骨折後の回復は、ただ骨をくっつけるだけでなく、全身の気血の流れを整えることで促される」と考えられてきました。患部の周囲だけでなく、全体の巡りを整えるという視点が、長期的な機能の回復を支える上でも重要と考えています。
姿勢や生活習慣との関係
肩の骨折後は、痛みをかばうことで姿勢が変化しやすくなります。患側の肩を前に引いたり、背中を丸めたりすることが習慣になると、肩甲骨まわりや首、さらには腰まで連鎖的に緊張が高まる場合があります。
東洋医学的に見ると、こうした姿勢の変化は「経絡(気の通り道)」の滞りを生みやすく、本来全身に流れるべき気血が届きにくくなる原因になると考えます。特に手の三陰・三陽経と呼ばれる肩から腕にかけての経絡は、固定期間中に使われなくなることで巡りが滞りやすいとされています。
日常の中で肩や腕を使う動作が多い方にとっては、この部分の巡りを取り戻すことが、日々の身体の快適さに直接影響してきます。身体の声に耳を傾けながら、焦らず丁寧に整えていくことが大切です。
そのままにしておくと起こりうること
肩の動きの制限や重だるさを放置してしまうと、以下のような状態になる可能性があります。
- 肩関節まわりの組織がさらに硬くなり、動きの回復に時間がかかるようになる
- 患側をかばい続けることで、反対側の肩・首・腰に負担が積み重なっていく
- 腕を使わない状態が続くことで、筋肉が弱くなりやすい
- 動かすことへの不安感が根付くことで、身体全体の活動量が低下していく
身体の声に耳を傾け、早めに状態を整えることが、長い目で見た回復につながります。
当院で行っているアプローチ
はくさん和鍼灸整骨院では、骨折後の肩の動きの回復に向けて、以下のような施術を行っています。
状態・動きの確認
肩の可動域(どのくらい動くか)、肩甲骨・鎖骨の連動、首や体幹とのバランスを確認しながら、どの部分の巡りが滞っているかを丁寧に把握します。
手技・鍼灸によるアプローチ
肩まわりの筋肉・腱・筋膜の緊張を和らげるための手技と、気血の巡りを促すための鍼灸施術を組み合わせてアプローチします。患部だけでなく、肩甲骨・首・背中など全体のバランスを整えることを意識しています。
セルフケアのご提案
「日常の中でどのように肩を使うとよいか」「どのくらいまで動かしてよいか」についても、身体の状態に合わせてお伝えしています。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。
こんな方はご相談ください
- 上腕骨近位部骨折(肩の骨折)の後、肩の動きや重だるさが気になっている
- 固定が終わってもすっきりしない感じが続いている
- 患側の肩をかばうことで、反対側や首にも張りが出てきた
- 「早く動けるようになりたいけど、どうしたらいいかわからない」
- 骨折後の身体のことを、東洋医学的な視点からも相談したい
まとめ
上腕骨近位部骨折は、転倒などで起こりやすい肩の骨折です。骨がくっつくことに加えて、その後の気血の巡りや関節・筋肉の動きを回復させていくことが、日常への復帰において重要です。
最新の研究でも、骨折後に「いつから・どのように動き始めるか」が短期的な機能回復に関係する可能性が示されています。当院では、現代的な施術の知見と東洋医学的な視点を組み合わせながら、お一人おひとりの身体の声に耳を傾け、整えていく施術を心がけています。
肩の骨折後のお悩みは、ぜひはくさん和鍼灸整骨院にご相談ください。
参考文献
- 論文タイトル: Early rehabilitation vs. conventional immobilization in nonoperative treatment of proximal humeral fracture: a systematic review
- 著者: Various authors
- ジャーナル: Disability & Rehabilitation
- 発行年: 2024
- URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38884512/


