股関節の外側に感じる重だるさや痛みは、身体が「整えてほしい」というサインかもしれません──殿筋腱症と、巡りを取り戻すアプローチについて
2026年08月10日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。
「股関節の外側が、なんとなく重だるい」「横になるとお尻から腰にかけてズキズキする」「歩くたびに足の付け根がだるく感じる」──そんなお悩みを長く抱えていませんか?
このような症状は、身体が「もっと自分を大切にしてほしい」「整えてほしい」とサインを出しているのかもしれません。そのサインの背景にあるものの一つとして、「殿筋腱症(大転子部痛症候群)」という状態が関係していることがあります。
東洋医学では、身体のどこかに負担や滞りが生じると、それが痛みや重さという形で現れてくると考えます。股関節まわりはちょうど、気血(きけつ)が流れる重要な経路が集まる部位でもあります。今回は、殿筋腱症という状態を東洋医学的な視点も交えながら、身体全体の調和という観点からお伝えします。
殿筋腱症とは?──腱に蓄積されるダメージのはなし
殿筋腱症は、股関節外側にある大転子(だいてんし)という骨の出っ張りに付着する中殿筋・小殿筋の腱に、繰り返しの負担やダメージが蓄積した状態です。かつては「転子部滑液包炎」として知られていましたが、現在は腱そのものの変性が主な変化であることが分かっており、「殿筋腱症」と呼ばれるようになっています。
痛みは主に股関節の外側、大腿骨の大転子部に現れることが多く、歩行・階段の昇降・横向き寝・片脚立ちなど特定の動きや姿勢で出やすいのが特徴です。
西洋医学的には「腱の変性」として捉えますが、東洋医学では、この部位の滞りや緊張は「気血の流れ」が乱れたサインとして受け止めることができます。股関節という人体の中心に近い大きな関節まわりに不調が生じるということは、身体全体のバランスが崩れているサインである可能性があります。
こんなサインはありませんか(よく見られる症状)
- 股関節の外側(大転子あたり)を押すと痛む
- 長時間歩いたり、立ち続けると外側がだるくなる
- 横向きに寝ると患側のお尻・股関節が気になる
- 脚を内側に組んだ体勢で症状が出やすい
- 片脚立ちがしにくく、グラついてしまう
- 立ち上がるとき、または歩き始めに股関節まわりが重い
- 殿部から太もも外側にかけて重さを感じることがある
こうした症状は「疲れ」や「老化」として見過ごされがちですが、身体が「助けてほしい」と発しているサインであることも多いのです。身体の声に耳を傾けることが、長い目で見た健康につながります。
東洋医学から見た、股関節まわりの不調の背景
東洋医学では、身体の各部位にはそれぞれ気血が巡る経絡(けいらく)が通っており、股関節まわりにも肝経(かんけい)・腎経(じんけい)・胆経(たんけい)などが走っています。
胆経は身体の外側を縦に走る経絡で、大転子部の近くを通ります。胆経の流れが滞ると、股関節外側に重さや痛みが出やすくなると考えられています。
また、東洋医学では「肝は筋を司る」と言われており、肝の気血が滞ると筋肉や腱が硬くなりやすいと考えます。殿筋腱症のように腱に変化が起きやすい状態は、こうした「肝の気血の滞り」と深く関わっている可能性があります。
さらに「腎は骨を司る」という考え方から、腎の働きが低下すると骨や関節まわりのサポート機能が落ち、腱や靭帯が影響を受けやすくなるとも言われています。年齢を重ねるにつれて「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる腎の気が不足しやすい状態になるとされており、これが股関節まわりの不調につながる一因と東洋医学では考えます。
日常の積み重ねが身体の声を作る
殿筋腱症の発症には、日常の姿勢や生活習慣が深く関わっています。
2024年に発表されたシステマティックレビュー(Patricio Cordeiro TT et al., Scientific Reports, 2024)では、殿筋腱症に対する運動療法の有効性が確認され、身体を適切に動かし続けることが機能面での改善に関連するという知見が報告されています。これは、東洋医学で言う「動かして気血を巡らせる」という考え方とも共鳴するものです。
特に以下のような習慣が、股関節まわりに滞りを生みやすいとされています。
- 長時間のデスクワークや同じ姿勢での作業
- 脚を組んで座る習慣(大転子部への持続的な圧迫につながる)
- 運動不足による殿部・体幹の筋力低下
- 体重増加による股関節への負担の増大
- 睡眠の乱れや慢性的なストレス(気血を消耗させる要因)
こうした積み重ねが、腱の環境を徐々に乱していく可能性があります。「最近、お尻まわりが固まっている感じがする」という感覚も、身体が変化を知らせるサインの一つです。
放置せずに向き合うことの大切さ
「たいしたことはない」「少し休めば良くなる」と放置していると、徐々に状態が変化していくことがあります。
- 痛みを避ける歩き方の癖がつき、膝や腰まで影響が広がることがある
- 股関節まわりの筋力が落ち、日常動作がしんどくなる可能性がある
- 気血の滞りがさらに深まり、冷えやむくみにもつながりやすくなることがある
- 身体全体のバランスが崩れ、他の部位にも不調が出やすくなる可能性がある
身体の声に早めに耳を傾けることが、長い目で見て身体全体の調和を保つことにつながります。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。
はくさん和鍼灸整骨院での対応
当院では、股関節外側の不調に対して、以下のような流れでアプローチしています。
① 身体の状態を確認する
どのような動きや場面でお悩みが出やすいか、丁寧にお聞きします。股関節まわりの筋肉の硬さや圧痛、動きの範囲なども確認し、お身体全体の状態を把握していきます。東洋医学的な視点からも、全身の気血の状態を見ていきます。
② 手技(柔整施術)で筋肉・腱の緊張を和らげる
殿部・股関節まわりの筋肉の緊張や硬さに対して、手技を用いて筋肉の状態を整えるアプローチを行います。気血の巡りを助けるイメージで、お身体に無理のない範囲でケアを進めます。
③ 鍼灸施術によるアプローチ(ご希望の方)
東洋医学的な視点から、胆経・肝経・腎経などの経絡に沿ったツボへのアプローチも行っています。お身体全体の巡りを整えることで、局所の不調を身体全体から和らげることを目指します。「局所だけでなく全身のバランスを整えたい」という方にもお勧めしています。
④ 日常生活でできる工夫のご提案
脚の組み方・寝姿勢・股関節まわりのストレッチなど、日常生活の中で取り入れやすい工夫をお伝えします。気血を巡らせるためには、日々の小さな積み重ねが大切です。無理なく続けられることを大切にしながら、お一人おひとりに合ったアドバイスをします。
こんな方は、ぜひご相談ください
- 股関節の外側が重い・痛いと感じることが増えてきた
- 横になるとお尻や股関節が気になる
- 歩くとき、脚の付け根が重くだるい
- 「老化かな」と思いながらも、なんとなく気になっている
- 全体的に身体の巡りが悪いと感じている
- 慢性的な冷えや疲れと股関節の不調が重なっている
まとめ
股関節外側の痛みや重だるさは、殿筋腱症(大転子部痛症候群)という腱の変性が関係していることがあります。最新の研究では、身体を動かし続けることが機能面での改善に関連することが示されており、保存的なアプローチの重要性が改めて注目されています。
東洋医学では、こうした不調を「気血の滞り」として捉え、身体全体の巡りを整えるアプローチを大切にしています。はくさん和鍼灸整骨院では、柔整施術と鍼灸をはじめ、お一人おひとりのお身体の状態に寄り添った対応を行っています。
「気になるけど大したことはない」と思っていても、身体はサインを出し続けています。ぜひ一度、身体の声に耳を傾けてみてください。皆さまのご来院をお待ちしております。
参考文献
Patricio Cordeiro TT, Rocha EAB, Scattone Silva R. Effects of exercise-based interventions on gluteal tendinopathy. Systematic review with meta-analysis. Scientific Reports. 2024;14(1):2982. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38336959/



