長引く痛みと 付き合い方のコツ
2026年10月5日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。
「毎日同じ場所が重い」「揉んでもらった日はいいけれど、二日と経たずに元の状態に戻ってしまう」——長く不調とお付き合いされている方から、そんなお話をよく伺います。特に、忙しい毎日を送るなかで自分の身体を後回しにしがちな方に多いように感じます。東洋医学では、身体の状態は一つの場所だけを診て判断するものではなく、全身のバランスや日々の過ごし方まで含めて捉えていくものと考えられています。今回は、長引く痛みとの付き合い方について、2026年に発表された海外の研究をひとつの手がかりとしながら、東洋医学の視点も交えてお話ししていきます。
痛みを「我慢する」でも「避ける」でもない、第三の道
長く続く不調に向き合うとき、多くの方が「とにかく我慢する」か「痛いところを動かさないようにする」かのどちらかを選びがちです。けれど、この二つの対応だけでは、なかなか状態が落ち着いていかないケースが少なくありません。
米国の学術誌Journal of Pain Researchに2026年に掲載されたZhang YZ氏らのシステマティックレビュー・メタ解析では、慢性的な痛みを抱える方に対して、運動療法と、痛みへの向き合い方を整理する心理的なアプローチを組み合わせた場合の経過を、3ヶ月後・6ヶ月後・1年後という複数の時点で追跡しています。その結果、身体を動かすことと、心の持ちようを整えることの両方に取り組んだ方たちのほうが、長期にわたって状態が安定しやすい傾向にあったと報告されています。身体と心、どちらか一方ではなく両方に働きかけるという発想は、東洋医学が古くから大切にしてきた考え方とも重なる部分があります。
「気血水」の乱れとして捉える不調
東洋医学では、身体の中を流れる「気」「血」「水」のバランスが乱れることで、痛みやこり、だるさといった不調が現れると考えます。特定の部位に負担が集中し続けると、その周辺の流れが滞りやすくなり、冷えやむくみ、筋肉のこわばりとして表れてくることがあります。西洋医学的な視点で見ても、長時間同じ姿勢を続けることで血流が滞り、筋肉が硬くなりやすいことは知られており、東西の考え方が重なる部分は少なくありません。
例えば、家事や仕事に追われる40代の女性が、肩や首の重さを感じながらも「みんな同じようなものだろう」とそのまま数年を過ごしてしまう、というお話をよく伺います。忙しさのなかで自分の身体を後回しにしているうちに、こわばりが慢性化し、頭痛や睡眠の浅さといった別の不調まで連れてくることもあります。身体は少しずつサインを出していても、日々の忙しさの中でその声に気づきにくくなってしまうものです。ふと鏡を見たときに、肩の高さが左右で違っていることに気づいて驚く、という方もいらっしゃいます。
日々の養生で意識したいこと
大きな変化を一度に求めるよりも、小さな習慣を積み重ねるほうが、身体には無理がありません。例えば、白湯を朝一杯飲んでから一日を始める、根菜など身体を温めるとされる食材を意識してとる、湯船に短時間でも浸かる時間をつくる。どれも特別なことではありませんが、続けることで少しずつ身体の状態が変わっていくのを感じる方は少なくありません。当院でも、施術と合わせてこうした養生の工夫を一緒に考えていくようにしています。
こんなお悩みで来院される方が多くいらっしゃいます
- 肩から首にかけて重だるさが取れず、頭まで締めつけられるような感覚がある
- 季節の変わり目や冷える時期になると、決まって同じ場所が辛くなる
- 夜、なかなか寝つけない、眠りが浅いと感じることが増えた
- 疲れが翌日に持ち越され、朝からすでにだるさを感じる
- マッサージやストレッチをしてもその場限りで、根本的に楽になった実感が乏しい
冷えと生活リズムの乱れが与える影響
湯船に浸からずシャワーだけで済ませる習慣や、冷たい飲み物を多くとる食生活、夜更かしによる生活リズムの乱れは、身体を内側から冷やし、巡りを滞らせる原因になりやすいとされています。冷えは筋肉を硬くこわばらせ、痛みを感じやすい状態をつくります。また、デスクワークで前かがみの姿勢が続くと、呼吸が浅くなり、酸素や栄養が行き届きにくくなることで、疲労が抜けにくい身体になってしまいます。
季節の変わり目、特に秋から冬にかけては、気温の変化に身体がついていけず、こわばりや不調を訴える方が増える傾向にあります。冷房の効いた室内と屋外の温度差にさらされ続ける夏場も、同じように身体への負担が積み重なりやすい時期です。「なんとなく調子が悪い」と感じたときこそ、身体を冷やしていないか、睡眠や食事のリズムが崩れていないかを振り返っていただきたいと思います。
不調を見過ごした先に待っていること
不調を放っておくと、身体は無意識のうちに痛む場所をかばおうとし、その結果として別の部位にも負担が広がっていきます。首をかばっているうちに肩が上がりにくくなったり、腰をかばっているうちに片方の膝に負担が寄ってしまったりと、一つの不調が連鎖的に広がっていくケースも珍しくありません。また「この不調はずっと続くのだろう」という思い込みが強くなると、身体を動かすこと自体に消極的になり、こわばりがさらに強くなるという良くない流れに入り込んでしまうことがあります。早い段階で身体の声に耳を傾け、手当てをしていくことが、長引かせないための何よりの近道です。
はくさん和鍼灸整骨院での向き合い方
当院では、まずお身体全体の状態と、日々の生活の中でのクセや習慣を丁寧に伺うことから始めます。首や肩、腰まわりの緊張の度合い、関節の動きやすさを実際に確認しながら、手技と鍼灸を組み合わせて滞りをやわらげ、身体全体の巡りが整っていくよう働きかけます。お一人おひとりの体質や生活リズムは異なるため、決まった型にあてはめるのではなく、そのときの状態に合わせて力の加減や施術の組み立てを変えています。
そのうえで、ご自宅でできる簡単なセルフケアや、身体を冷やさないための生活の工夫についてもお伝えしています。例えば、首や肩がこわばりやすい方には、就寝前に首の後ろを軽く温めてから、ゆっくりと呼吸をしながら肩を上下させる、といった簡単な習慣をご提案することもあります。心と身体、両方に目を向けたケアを大切にしています。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。今までにない強い痛みやしびれを感じる場合は、我慢せずご相談ください。
ひとりで抱え込まず、まずはお話しください
「これくらいの不調で相談していいのか」と迷われる方も多いのですが、不調が軽いうちのほうが、身体は変化を受け入れやすいものです。長く付き合ってきた痛みであっても、身体の使い方や生活のリズムを少し整えるだけで、感じ方が変わっていくことは十分にあります。産後のお身体の変化や、更年期にともなう不調について相談される女性の方も多く、年代を問わず一人で抱え込まずにお話しいただければと思います。
身体と心の、これからの付き合い方
痛みや不調は、身体からの声だと私たちは考えています。その声を我慢で押し込めるのでも、怖がって動かさないようにするのでもなく、身体を少しずつ動かしながら、心の持ちようも一緒に整えていく——今回ご紹介した研究が示すように、その両輪こそが長引く不調と上手に付き合っていくための土台になります。
季節が移ろうように、身体の状態も日々少しずつ変化しています。今は調子が良くても、無理を重ねればまた不調に戻ってしまうこともありますし、逆に長く付き合ってきた不調でも、生活の整え方次第で少しずつ楽な状態に近づいていくこともあります。横浜市緑区白山という地域で、皆さまの身体と心が少しでも軽くなるお手伝いができればと思っています。
参考文献
Zhang YZ, et al. “Efficacy of Cognitive Behavioral Therapy Combined with Exercise in Patients with Chronic Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Journal of Pain Research. 2026. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42051752/




