夕方、靴を脱ぐときに母趾の付け根がじんじんと痛みだす、その理由
2026年10月13日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。夕方、一日の終わりに靴を脱いだ瞬間、親指の付け根がじんじんと痛みだす。そんな感覚を覚えたことはありませんか。朝はさほど気にならなかったのに、夕方になるほど熱を持つように痛みが強くなる。買い物や立ち仕事、家事で歩き回った日ほどその傾向が強い、というお話を、当院ではよく耳にします。今日は、足の裏側にひそむ小さな骨の痛みについて、最近発表された海外の研究を交えながらお伝えします。
足の裏に隠れた「種子骨」という小さな要
親指の付け根の裏側には、米粒よりひと回り大きい二つの骨が、腱の中に埋め込まれるようにして収まっています。これを種子骨と呼びます。小さな骨ですが、歩くたびに体重の多くがここを通り抜けていくため、負担が集中しやすい場所でもあります。この一点に無理な力がかかり続けると、炎症を起こして痛みとなって現れます。それが種子骨炎です。特別なきっかけがないまま、気づけば痛みだしていた、という方が多いのも特徴です。
見過ごされがちな痛みのサイン
- 親指の付け根を押すとズキッと響く
- つま先立ちや階段の上りで体重が乗ると痛む
- 夕方になるほど熱を持ったように感じる
- そっと触れると、わずかに腫れている
- 素足で硬い床を歩くと痛みが響く
こうした身体からのサインを「歳のせい」「今日はたくさん歩いたから」と片づけてしまう方も少なくありません。当院にいらっしゃる方の中にも、痛みが出始めてから何週間もそのままにしていた、という方が多くいらっしゃいます。ですが、繰り返し起こる痛みには、たいてい理由があります。外反母趾や神経の圧迫による痛みと感じ方が似ていることもあり、ご自身だけで見極めるのは難しいものです。痛みが出る動きや時間帯を覚えておくと、後でお話をうかがう際の手がかりになります。
なぜ、その一点に力が集まるのか
2025年に医学誌「Medicina」で発表されたBizらの系統的文献レビューは、複数の研究にまたがる59例の記録を丁寧に読み解き、種子骨炎に対する保存的なケアの現状を整理したものです。それによると、かかとの高い靴や底の薄い靴、長時間の立位や歩行、走ることや踊ることなど、前足部に繰り返し体重が乗る動作が、発症に関わる要因として挙げられています。もともと足のアーチが高めの方、体重が前寄りに乗りやすい歩き方のクセをお持ちの方も、負担が集まりやすいとされています。装具や活動量の調整、足底へのパッドといった保存的な工夫を組み合わせた症例のうち、約66%で痛みの指標が和らいだことも報告されており、日々の過ごし方を整えるだけでも変化は起こりうるのだと感じさせてくれる内容です。この研究では、種子骨炎に対して定まった型どおりの指針がこれまで存在しなかった点にも触れられており、走ることや踊ることを楽しむ方だけでなく、販売や飲食など長時間立ち続けるお仕事の方にも起こりやすいとまとめられています。白山周辺で日々忙しく働く方々にとっても、決して遠い話ではないと感じています。
身体は、つながって働いている
東洋医学では、身体はひとつながりのものとして捉えます。足先の小さな不調も、脚全体、腰、さらには上半身の使い方にまで影響を及ぼすことがあると考えられています。足の一点をかばう歩き方が続くと、脚の外側や内側の筋肉の使われ方に偏りが生まれ、気血の流れが滞りやすくなります。冷えを感じやすい方、疲れが抜けにくい方は、こうした足元の小さな崩れが、全身の巡りにまで影響していることも珍しくありません。当院にいらっしゃる方の中にも、足の痛みをかばっているうちに肩や首まで張ってきた、とおっしゃる方がいらっしゃいます。長年立ち仕事を続けてきた方が、足元の違和感を我慢しているうちに、夜なかなか寝つけないほど身体全体が重だるくなっていた、というお話をうかがったこともありました。足先の小さな痛みが、思いがけないところで体調全体に響いていることは珍しくないのです。
生活の中で乱れやすい3つの場面
一つ目は、靴を選ぶ場面です。つま先の窮屈な靴やヒールの高い靴は、親指の付け根に力を集めてしまいます。少し余裕のあるつま先、クッション性のある靴底を選ぶだけで、力の集まり方は変わってきます。
二つ目は、歩くときの体重の乗せ方です。つま先で強く蹴り出す歩き方は、種子骨まわりへの負担を増やしやすくなります。かかとから着地し、足裏全体でゆっくり体重を受け止める意識が、負担を分けてくれます。
三つ目は、身体を休ませる場面です。長く歩いた日の夜は、足を少し高くして休ませたり、患部をやさしく冷やしたりすることで、翌朝への痛みの持ち越しを防ぎやすくなります。休ませずに同じ負荷をかけ続けると、身体の巡りが整う間もなく、疲れと痛みが積み重なっていきます。
姿勢のクセが身体全体に伝わっていくこと
痛みをかばう歩き方は、足だけにとどまりません。膝、股関節、腰、そして背中や肩にまで、少しずつ影響が伝わっていきます。たとえば、立ち仕事を一日していた方が、痛む足を無意識にかばって体重を反対側に逃がすようになり、数週間のうちに反対の膝や腰に張りを覚えるようになった、という例もあります。身体は連動して動いているからこそ、一点の不調が離れた場所の負担として現れることがあるのです。特にシニアの方は、かばう歩き方が続くことでふらつきやすくなり、転倒への不安にもつながりかねません。早めに気づいて向き合うことが、後々の安心につながります。
放っておくと、身体はどう応えるか
種子骨炎そのものは、多くの場合すぐに危険な状態を招くものではありません。ただ、痛みをかばう姿勢や歩き方が長く続くと、身体の巡りが乱れたまま固定されてしまい、慢性的な冷えやだるさ、他の部位の不調につながることがあります。特に季節の変わり目や冷え込む時期は、もともとの巡りの滞りに痛みが重なることで、身体がいっそう重く感じられる方もいらっしゃいます。一つの痛みを軽く見ずに、早めに向き合っておくことが、後々のご自身のためになります。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。痛みが強い、腫れが引かない、しびれを伴うといった場合は、レントゲンなどの検査が必要になることもありますので、無理をなさらず早めにご相談ください。
はくさん和鍼灸整骨院でのケア
当院では、痛みの場所や強さだけでなく、日ごろの歩き方や靴、冷えの感じやすさなど、お身体全体の状態を伺いながら向き合っています。手技によって足底やふくらはぎの張りをやわらげ、鍼灸によって滞りやすい部分に働きかけることで、力の集まり方が一点に偏らないよう整えていきます。あわせて、ご自宅でできる足指のストレッチや、足を休ませるタイミングについてもお伝えしています。一日の終わりに足を軽くさすってあげるだけでも、翌日の感じ方が変わってくることがあります。初めてお越しになる際は、普段の歩き方や靴、冷え・むくみの出やすさなど、生活の背景もあわせて丁寧にうかがうようにしています。お身体全体のバランスを見ながら、無理なく続けられるペースでケアを組み立てていきます。
ご相談ください
「このくらいの痛みで相談していいのだろうか」と迷われる方も多いのですが、小さな違和感のうちに向き合っておくことは、後の負担を減らすことにつながります。横浜市緑区白山周辺にお住まいの方、日々の歩行やお仕事で足を酷使されている方は、どうぞお気軽にお声がけください。鍼灸と手技、どちらもご希望に応じて組み合わせられますので、初めての方もご安心ください。
おわりに
足の親指の付け根の痛みは、種子骨という小さな骨への負担が積み重なって起こることがあります。靴選びや歩き方、休ませ方という小さな習慣を見直すことが、身体全体の巡りを整える第一歩になります。夕方になるとじんじんと痛むその感覚を、どうぞそのままにしないでください。靴を脱いだ瞬間にほっとできる足を、少しずつ取り戻していきましょう。
参考文献
Biz C, et al. "Conservative Treatment of Sesamoiditis: A Systematic Literature Review with Individual-Level Pooled Data Analysis." Medicina (MDPI), 2025;61(7):1215. https://doi.org/10.3390/medicina61071215



