お尻の横に続くじわじわした痛みは、身体が「整えてほしい」とサインを出しているかもしれません ─ 大転子疼痛症候群と巡りを取り戻すはなし
2026年06月10日
横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。
「お尻の横がじわじわと痛む」「横向きで眠ると股関節の外側が気になって目が覚める」「長く歩いたあと、太もも外側に重だるさが残る」──そのような不調が続いているとき、身体はどこかで「整えてほしい」というサインを発しているかもしれません。
今回は、股関節の外側に慢性的な痛みをもたらす「大転子疼痛症候群(GTPS)」について、東洋医学的な視点も交えながら、その状態と身体へのアプローチについてお伝えします。2024年に国際誌『Physiotherapy』に掲載されたシステマティックレビュー・メタ解析の知見も参考にしながら、ご説明します。
大転子疼痛症候群とは?
大転子(だいてんし)とは、太ももの骨(大腿骨)の上端外側にある骨の突起です。ここには股関節を外に開く動きを支える筋肉──中殿筋や小殿筋──の腱が付着しています。そしてこの腱や周囲の組織(滑液包)に繰り返し負荷がかかることで、股関節の外側〜お尻の横にかけて痛みや重だるさが生じる状態を、大転子疼痛症候群と呼びます。
以前は「大転子滑液包炎」とも呼ばれていましたが、近年の研究では腱そのものの変性が多く関与していることが明らかになってきており、より包括的な概念として「大転子疼痛症候群」という用語が広く使われるようになっています。
中高年の女性に比較的多くみられますが、生活習慣や姿勢の影響を受けやすい状態であり、幅広い年齢層で起こりえます。
こんな身体のサインが出ていませんか
- お尻の横〜股関節の外側にじわじわとした痛みや圧痛がある
- 横向きで眠ると、下になっている股関節が気になる
- 歩き始めや階段の上り下りで痛みが増す
- 長く歩いたり立ち続けたりすると不快感が強まる
- 脚を内側に向けると症状が出やすい
- 症状が慢性化すると、太もも外側にまで重さや違和感が広がることがある
これらの症状は腰椎由来の痛みや変形性股関節症と区別が難しい場合もあります。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。
東洋医学的な視点から
東洋医学では、身体の「気(き)・血(けつ)」の流れが滞ると、特定の部位に痛みや重さ、こわばりとして現れることがあると考えます。
股関節の外側は「胆経(たんけい)」と呼ばれる経絡(エネルギーの通り道)が走る部位とされており、この経絡上の巡りが乱れることが、外側の痛みや重さと関係している可能性があるとも見ることができます。また、骨盤まわりは「腎(じん)・肝(かん)」の経絡とも深く関わる部位とされており、慢性的な疲労や冷え、ストレスの影響を受けやすいとも考えられています。
「冷えると股関節が重くなる」「疲れると脚の付け根が張ってくる」という方は、身体全体の巡りの乱れが大転子周囲の組織に影響を与えているサインかもしれません。身体の声に耳を傾けてみることが大切です。
原因として考えられる状態
Kjeldsenら(2024年)のシステマティックレビュー・メタ解析(Physiotherapy誌)では、外転筋の機能に着目したアプローチが保存的ケアとして安全で有用な選択肢として報告されています。その背景にはいくつかの要因が考えられます。
外転筋腱への繰り返しの圧迫
脚を組む姿勢や膝が内側に入る歩き方など、股関節を内旋させる動作が習慣化すると、中殿筋・小殿筋の腱に繰り返しの圧迫が加わりやすくなります。この積み重ねが腱の変性へとつながる可能性があります。
筋力と柔軟性のアンバランス
外転筋群の筋力低下、内転筋や腸腰筋の過緊張、骨盤まわりの柔軟性の低下などが重なると、大転子周囲の組織への負担が集中しやすくなります。
骨盤の不安定さ
体幹や骨盤の安定性が低下していると、歩行時に骨盤が横に揺れやすくなり、大転子への圧力が高まりやすいとされています。骨盤の安定は、股関節周囲の組織を守るうえで重要な要素です。
生活習慣と巡りの関係
以下のような習慣が、大転子疼痛症候群の状態に影響していることがあります。
- 長時間脚を組んで座ることが多い
- 冷えやすい環境・薄着で過ごしている
- 慢性的な睡眠不足や疲れの蓄積
- 股関節まわりをあまり動かさない生活が続いている
- 患側を下にした横向き就寝が習慣になっている
東洋医学的には、冷えや疲労の蓄積は「気血の巡り」を乱す要因とされています。局所的なケアだけでなく、身体の内側からの巡りを整えることが、不調の改善に向けた大切な視点になります。
放置することで起こりうること
股関節外側の痛みが続くと、無意識に庇い歩きになりやすく、腰・反対側の股関節・膝へも負担が波及していくことがあります。また、痛みが長引くことで外転筋を使う機会が減り、筋力の低下がさらに進むという状態に入りやすくなります。
東洋医学の視点では、局所的な「気血の滞り」が長く続くと、周辺の組織の働きが低下しやすくなると考えます。早めに身体の声に耳を傾け、整えていくことが大切です。身体が発しているサインを見逃さないようにしましょう。
当院での対応について
はくさん和鍼灸整骨院では、股関節外側の不調に対して以下のようなアプローチを行っています。
身体の状態の確認
どのような姿勢や動作で症状が出やすいか、冷えや疲れとの関連はあるかなど、丁寧な問診を行います。股関節・骨盤・腰椎の動きのバランスを確認し、不調の背景を見ていきます。
手技・鍼灸によるアプローチ
外転筋群や骨盤まわりの筋肉の緊張を和らげる手技と、経絡の巡りを整えることを目的とした鍼灸を組み合わせます。局所的なケアだけでなく、身体全体のバランスを巡らせる視点で施術を行います。
生活習慣のアドバイス
姿勢の工夫・冷え対策・日常でできるやさしい動きの提案など、毎日の生活の中で取り入れられるアドバイスもお伝えします。身体が整うための土台を、日常生活の中で育てていくことを大切にしています。
こんな方はぜひ身体の声を聞いてみてください
- お尻の横や股関節の外側がじわじわと痛む方
- 横向きで眠ると股関節が気になる方
- 歩き始めや階段昇降で股関節に不快感が出る方
- 冷えや疲れと一緒に股関節の重さが出やすい方
- 「腰と股関節の両方が気になる」という方
- 長く続く不調に、なかなか原因が見つからないという方
まとめ
大転子疼痛症候群は、外転筋腱や大転子周囲への負担が蓄積することで生じる股関節外側の痛みです。2024年のKjeldsenらのレビューでも、保存的なアプローチの有用性が報告されており、個人の状態に合わせたケアの重要性が示されています。
はくさん和鍼灸整骨院では、手技と鍼灸を組み合わせながら、身体全体の巡りを整える視点でケアを行っています。「お尻の横の痛みが気になる」という方は、どうぞ身体の声に耳を傾けてみてください。
参考文献
Kjeldsen T, Hvidt KJ, Bohn MB, Mygind-Klavsen B, Lind M, Semciw AI. “Exercise compared to a control condition or other conservative treatment options in patients with Greater Trochanteric Pain Syndrome: a systematic review and meta-analysis of RCTs.” Physiotherapy. 2024. PMID: 38295551. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38295551/



