固定の重要性 DAMPsの恐怖とは

2024年07月10日

はくさん和鍼灸整骨院では、突き指、 ムチウチ、捻挫、打撲、骨折、脱臼や、炎症症状や関節に水が溜まった状態(関節水腫)に対してテーピングや包帯、硬性固定素材(キャストライト等)で固定を施すことがあります。
固定って結構鬱陶しい印象があると思います。
なんだか大袈裟な印象にもなるし、暑いし、汗かくと臭いし、痒いし。
特に今日のような夏日だと勘弁してくれよ。と感じるかもしれません。笑

実はこんなふうに感じるであろう、はくさん和鍼灸整骨院ですでに固定を施されたお客様に向けてこの記事を作成している側面もあるわけです。笑

固定。無茶苦茶重要ですよ。勝手に外したりしないでね。と。

それでは参りましょう。

固定ってなぜするの? 固定の目的の種類

固定と一口で言っても様々な目的があります。
①関節の固定、不動化、保護
②筋肉の保護、サポート、強化
③皮膚を筋肉や脂肪層から浮かせることで血流促進(主にテーピング)
④意識しづらい筋肉や神経の意識づけ(主にテーピング)

今日は主に①についての内容になります。
関節の不動(動かない状態)を作ることがいかに重要なことなのか、理解していれば怪我をなおすモチベーションも変わってくると思います。
固定、本当に重要です。

関節の不動を作るべき理由とは?

関節の変形症状をご覧になったことはありますか?

変形性膝関節症、変形性股関節症、外反母趾 などの徐々に変形していく変形症状も、骨折や脱臼後に正しく関節の保護を行えなかったがゆえにできてしまう偽関節(骨がつかず、ないはずのところに関節もどきができてしまうこと)や変形癒合(変形したままくっついてしまうこと。すごい角度に腰が曲がったお年寄りを見たことはありませんか?圧迫骨折から変形癒合したケースも考えられます。)

では関節の変形とはなぜ起こるのでしょう??

骨折や脱臼できちんと固定していなければそりゃあ変形しますよね。
問題は前者の変形性関節症です。
なぜ関節の変形は起こるのでしょうか?
なぜ水が溜まったり、腫れたり、痛むのでしょうか?

関節がすり減る?
人間の関節は現代の科学や技術でも完全には再現できないような摩擦係数の低さです。
そんな関節がたった数年ですり減るでしょうか??

実はこの問いの答えこそ固定の重要性に深く関与してきます。


DAMPsとは?固定の真の重要性

結論、関節はすり減っているのではなく、もっと複雑な生理学的反応で変形していきます。

関節内には関節包や靱帯、半月板など、軟骨や骨よりも柔らかく損傷しやすい柔らかい組織が入っています。
まずはこれらが損傷して、関節の中にその破片が遊離します。

その破片を感知した人体は異常事態だと感じ、炎症性サイトカインという炎症物質を出します。
ここがキモで、組織が壊れた際にも確かに血が出たり腫れたり炎症は起こりますが、その壊れた破片に反応して、2時的に炎症が再発生する。ということです。
これをDAMPsと言います。
そしてDAMPsで引き起こされた炎症性サイトカインの中には、プロテアーゼというタンパク質を分解する物質が含まれています
何度も炎症を起こすとタンパク質を分解する物質が出て、タンパク質で構成されている人体の軟部組織や骨、軟骨なども融解され徐々に脆く、徐々に構造が崩れて変形ということになっていくわけです。

ちなみに脆弱性骨折や突発整骨壊死にはDAMPsが原因のものも含まれます。

DAMPsや変形を防ぐには?

ではどうすれば変形性関節症や変形性疾患を防げるのか?

答えはメカニカルストレスのコントロールと不動化。
つまり固定です。

固定によって炎症部位や組織片の遊離が起こっていそうなポイントを不動にし、DAMPsを強制的に短時間で抜け出します。
それによって、連鎖するDAMPsを食い止め、プロテアーゼの分泌も最小限に食い止めるわけです。

正直、ここまでの生理学的な機序をわかっていて処置をするか?お客様にも共有できているか?否かで場面場面での選択も、施術効果も予後も相当変わってきます。

固定開始の合図は、関節に水が溜まっている。関節に血液が溜まっている。関節内に腫れや熱感、痛みがある。場合です。
関節外の症状なのか?関節内の症状なのか?の鑑別も重要になっていきます。

早期の評価、判断と処置とお客様の日常生活内での協力が怪我の予後と回復速度、再発率に大きく関わります。

怪しい所見があればすぐにご相談ください。

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