長い距離を歩いた後、太ももの外側から膝にかけてズキッと痛む

2026年10月16日

長い距離を歩いた後、太ももの外側から膝にかけてズキッと痛む

横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。

お天気の良い日にウォーキングを楽しまれた方、久しぶりにお子さんやお孫さんと公園を歩き回った方から、「膝の外側だけが痛くて、次の日もまだ違和感が残っている」というお話をいただくことがあります。膝のお皿そのものではなく、少し横にずれたあたりがズキッとする。押すとそこがはっきり痛い。そんな感覚を覚えている方は、少なくありません。

今回は、太ももの外側から膝の横にかけて伸びる「腸脛靭帯」という帯状の組織まわりに起こる不調、腸脛靭帯症候群について、身体全体の使われ方という視点も交えながらお話しします。

腸脛靭帯まわりに起こっていること

腸脛靭帯は、骨盤の外側から太ももの外側を通り、膝の少し下まで伸びる組織です。膝を曲げたり伸ばしたりするたびに、この靭帯は太ももの骨の外側の出っ張りの上を行き来しています。歩く、走る、階段を上り下りするといった動作が続くと、この部分に摩擦や圧迫が繰り返し加わり、少しずつ負担が積み重なっていきます。

海外で発表された最近のシステマティックレビューでは、ランナーを中心とした13件の研究をまとめ、この腸脛靭帯症候群に対してどのような保存的なケアが行われてきたかが整理されています。ストレッチや筋膜のケア、股関節まわりの筋力を高める運動など、さまざまな方法が試みられてきた一方で、どれか一つの方法だけが優れているとは言い切れず、身体全体のバランスを見ながら向き合っていく必要があると示されています。

こんな感覚、ありませんか

  • 膝の外側、お皿より少し上のあたりがズキッと痛む
  • 歩き始めは平気でも、歩く距離が伸びるとだんだん痛みが強くなる
  • 下り坂や下りの階段で特に響く
  • 押すと痛みの場所がはっきりしている
  • 身体の片側だけに、いつも疲れやこわばりが偏っている気がする

こうした感覚は、身体のどこかに負担が偏っていることを教えてくれているサインとも言えます。

膝の外側の痛みというと、変形性膝関節症や半月板の不調を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、腸脛靭帯まわりの不調は、膝の内部よりも骨の出っ張り付近に痛みがはっきりと出やすく、しゃがみ込みそのものよりも、歩く・階段を下りるといった繰り返しの動作で強く感じやすいという特徴があります。ご自身で見分けることは難しいため、痛みの出方を一緒に確認していくことが大切です。

東洋医学から見た身体の流れとの関わり

東洋医学では、身体の中を巡る「気」や「血」の流れが滞ることで、こわばりや痛みが生じやすくなると考えます。腸脛靭帯症候群も、膝そのものの問題として捉えるだけでなく、股関節から太もも、そして膝へと続く身体の側面全体の巡りが滞っていないかという視点で見ていくことが大切です。

とくに、股関節の外側の筋肉がうまく働かず骨盤が傾きやすくなっている方は、身体の左右バランスが崩れ、片側に負担が集中しやすくなります。冷えやすい方、デスクワークで長時間同じ姿勢を続けている方は、股関節まわりの動きが硬くなり、血の巡りが滞りがちになるため、こうした負担がより出やすい傾向があります。

季節の変わり目や、急に気温が下がる時期には、身体が冷えることで筋肉や靭帯まわりの動きがさらに硬くなりやすく、痛みを感じやすくなる方もいらっしゃいます。日頃から身体を冷やさない工夫を心がけることも、膝の外側の不調と向き合ううえで意味のあることだと考えています。

生活の中に隠れている負担

長時間座った後に急に立ち上がって歩き出す、いつも同じ側の肩にバッグをかける、片足に体重をかけて立つ癖がある――こうした何気ない動作の積み重ねが、身体の左右差を大きくしていることがあります。とくに女性の方は、股関節まわりの筋力が年齢とともに変化しやすく、骨盤の傾きやすさとも関わりが深いため、日々の姿勢や動作の癖を見直すことが不調の予防につながります。

履き慣れないパンプスやソールがすり減った靴で長時間歩いた日、普段より歩数が多かった買い物や旅行の後にだけ膝の外側が響く、という方もいらっしゃいます。一回一回は小さな負担でも、同じ側に偏った歩き方が積み重なることで、太もも外側の張りとなって表れてくることがあります。

ご自宅でできること

当院にお越しいただく合間には、ご自宅でも身体を整える工夫を取り入れていただけます。横向きに寝て上側の脚をゆっくり持ち上げる動きは、股関節の外側の筋肉に働きかけるのに役立ちます。また、湯船にゆっくり浸かって太もも外側から股関節にかけて温めることも、こわばった組織をやわらげる助けになります。長く歩いた日の夜は、脚を心臓より少し高くして休ませるだけでも、翌朝の重だるさが違ってくると感じる方もいらっしゃいます。

そのままにしておくとどうなるか

痛みが出始めた頃は、少し休めば落ち着くことも多く、「そのうち治まるだろう」と様子を見てしまいがちです。しかし、身体の使われ方そのものが変わらないまま同じ生活を続けていると、痛みの出る頻度が増えたり、歩くこと自体がおっくうに感じられるようになったりすることもあります。

痛む膝をかばって歩き方が変わってしまうと、反対側の脚や腰、股関節など、身体の他の部分にまで負担が広がっていくことも少なくありません。身体は一つにつながっているからこそ、早めに全体の巡りを整えておくことが、長い目で見て楽に過ごすことにつながります。

季節が進み気温が下がってくると、筋肉や靭帯まわりの動きは普段より硬くなりやすく、痛みを感じやすくなる方も出てきます。冷える時期に差しかかる前に一度身体の状態を確認しておくことは、これから先の生活を心地よく過ごすための備えにもなります。

当院でのケアの進め方

当院では、まずお話をじっくり伺い、痛みの出るタイミングや場所、日頃の生活習慣、身体の冷えやすさなどを確認します。そのうえで、股関節や骨盤まわりの動き、太もも外側の張り具合を丁寧に見ながら、手技や鍼灸を通じて硬くなった部分にアプローチしていきます。

身体の側面全体の状態を確認しながら、緊張の強い部分をゆるめ、股関節まわりの筋肉が働きやすい状態を整えることを大切にしています。鍼灸によるアプローチでは、股関節から太もも外側、膝周辺のツボや硬くなった筋肉を丁寧に確認しながら、こわばりのある部分に働きかけていきます。手技と鍼灸を組み合わせることで、部分的な硬さだけでなく、身体全体のバランスを見ながら整えていけるという点が、当院ならではのケアの特長です。

あわせて、ご自宅でできる簡単なストレッチや、冷えを防ぐための生活の工夫についてもお伝えし、日常の中で少しずつ身体の使われ方が変わっていくようサポートしています。継続して通っていただく中で、痛みの出やすかった距離が少しずつ延びていったと感じられる方もいらっしゃいます。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

一緒に身体と向き合っていきましょう

膝の外側の痛みは、我慢しながら過ごしてしまう方も多い部位です。ですが、身体からの小さなサインを見過ごさず、早めに向き合うことで、日々の暮らしが少し楽になることもあります。歩くこと、動くことを我慢の対象にしないためにも、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

まとめ

腸脛靭帯症候群は、太ももの外側から膝にかけて伸びる腸脛靭帯まわりに、歩行や運動による負担が繰り返し加わることで生じる不調です。股関節まわりの筋力や骨盤の傾き、身体の冷えや姿勢の癖が背景にあることも多く、膝だけでなく身体全体の巡りという視点で向き合うことが大切です。今回ご紹介したシステマティックレビューでも、単一の方法にとらわれず、様々なアプローチを組み合わせて向き合う姿勢の重要性が示されています。膝の外側に違和感を覚えたら、身体からのサインとして受け止めてみてください。

参考文献

Sanchez-Alvarado A, et al. "Effects of conservative treatment strategies for iliotibial band syndrome on pain and function in runners: a systematic review." Frontiers in Sports and Active Living, 2024.

URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11377285/

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