かかとの上のじわじわした痛み─ アキレス腱症と、巡りを取り戻すためのはなし

2026年07月1日

横浜市緑区白山にある、はくさん和鍼灸整骨院です。

「歩き始めの一歩が痛い」「階段を上るとかかとの少し上が張る感じがある」「ランニングを楽しんでいたのに、足首のあたりが慢性的に気になるようになってきた」── そんな状態が続いているとしたら、それは身体が「整えてほしい」と発しているサインかもしれません。

今回は、「アキレス腱症(アキレス腱障害)」という状態について、そして当院でどのように身体の状態に向き合っているかをお伝えします。足元の不調を東洋医学的な視点も交えながら、丁寧に解説していきます。

アキレス腱症とは?

アキレス腱症とは、かかとの骨とふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)をつなぐ「アキレス腱」に、繰り返しの負荷による組織の変性や慢性的な状態が生じた状態を指します。

東洋医学的な視点から見ると、アキレス腱やその周辺の不調は、下半身の「気血の巡り」の滞りと深く関わっていることが多いと考えています。腱という組織は、筋肉と骨をつなぐ「橋渡し役」。ここに気血の流れが滞ることで、組織が栄養を十分に受け取れず、回復力が落ちていくのだと東洋医学では理解しています。

大きく分類すると、かかとから2〜6cm上あたりに起こる「中央部アキレス腱症」と、かかとの骨との付着部近くの「付着部アキレス腱症」があります。今回は特に、日常的にご相談が多い中央部のアキレス腱症についてお話しします。

よく見られる症状や特徴

アキレス腱症では、次のような状態がよく見られます。

  • 朝起きた直後や、しばらく休んだ後の「最初の一歩」がつらい
  • 動き始めると少し楽になるが、長く動くとまた違和感が出てくる
  • アキレス腱のあたりを触ると、ズキッとした痛みや硬い感触がある
  • ふくらはぎ全体がいつも重だるく、夜になるとさらに張る感じがある
  • かかとをつけて歩くと違和感があり、つま先立ちになりがちになっている
  • 足首の動きが硬くなってきた感じがする

これらは一見「疲れ」として流してしまいがちな状態ですが、身体が長い間溜め込んできた疲れや滞りのあらわれとも考えられます。

原因として考えられる状態(最新研究の視点から)

アキレス腱症の背景として、次のような状態が関係している可能性があります。

腱への繰り返しの負荷と、回復の追いつかない状態

走ること、ジャンプすること、坂道や硬い地面での歩行など、日々の積み重ねが腱にじわじわと影響を与えます。特に、十分な休養や「動いた後のケア」が不足しているときに、腱の回復が間に合わなくなることがあります。

ふくらはぎや足底の「巡りの悪さ」

東洋医学では、局所の血流不足や気の停滞が組織の修復を妨げると考えます。ふくらはぎが慢性的に硬くなっている状態は、まさに「巡りが滞っている」サインのひとつです。

急激な活動量の変化

久しぶりのランニングや、突然の運動量増加は、腱が適応する前に過大な負荷がかかるきっかけになりえます。

近年の研究知見として、2023年にBMC Sports Science, Medicine and Rehabilitationに掲載されたシステマティックレビュー・メタ分析(Prudêncio DA et al.)では、アキレス腱症(中央部)に対する複数の運動アプローチを比較した8件の研究を統合した結果、エキセントリック運動(筋肉が伸びながら力を発揮する動き)が他の運動療法に比べて疼痛の改善に関してより優れた変化をもたらす可能性があると報告されています。

この知見は、「身体に適切な刺激を与えながら組織の巡りを取り戻す」という東洋医学の考え方とも重なる部分があります。手技と運動を組み合わせた統合的なアプローチが、状態に向き合う上での重要な観点です。

姿勢や生活習慣の影響

日々の姿勢や生活習慣も、アキレス腱症に影響している場合があります。

たとえば、足が内側に傾きやすい(過回内)のある方は、アキレス腱に慢性的なよじれのような力がかかりやすいとされています。また、かかとの高い靴の日常的な使用や、デスクワークで長時間足を動かさない状態は、ふくらはぎ全体の血の巡りを滞らせる一因になることがあります。

東洋医学では、「冷え」も気血の巡りを滞らせる大きな要因と考えます。足元の冷えが続いている方は、アキレス腱を含む下半身全体のケアを見直すきっかけにしてみてください。入浴時のふくらはぎのマッサージや、足を温める習慣なども、巡りを助けるセルフケアのひとつです。

また、靴の硬さやかかとのすり減り方なども、アキレス腱への力のかかり方に影響することがあります。足元の環境も含めて、全体的に見直してみることが大切です。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。痛みが強く続く場合や腱の断裂が疑われる場合は、医療機関での確認が必要なことがあります。

放置によって起こりうる影響

アキレス腱症の状態が長く続くと、次のような影響が生じる可能性があります。

腱の変性が進むにつれ、断裂のリスクが高まるとされています。また、痛みをかばうことで膝や股関節、さらには腰への影響が広がっていくことも少なくありません。

東洋医学の視点では、局所の「滞り」を放置することで、身体全体の気血の巡りへ波及していくと考えます。足元の不調は、全身の調和を乱す起点にもなりうるのです。特に、足からくる疲れや重だるさが全身の疲弊感として感じられるようになっていたら、身体全体の状態を整えることを優先的に考えましょう。

当院で行っている対応

はくさん和鍼灸整骨院では、アキレス腱周辺の不調に対して、身体全体の状態を整えることを意識しながら対応しています。

1. 状態の確認・動きチェック

アキレス腱の状態、ふくらはぎや足底の硬さ、足首の動き方などを丁寧に見ていきます。どの部分に滞りが起きているかを確認するところから始めます。

2. 手技・鍼灸施術

ふくらはぎや足底、腱周辺に対して、巡りを取り戻すための手技アプローチを行います。また、経絡(気血の通り道)の流れを意識した鍼灸の施術を組み合わせることで、局所だけでなく身体全体の調和を整えていきます。冷えが強い方には、お灸によるアプローチを取り入れることもあります。

3. セルフケアのアドバイス

日常での足の使い方、入浴法、ふくらはぎのセルフケアなど、ご自宅でできる「巡りを助けるケア」についてもお伝えしています。身体の声に耳を傾けながら、日常生活の中で少しずつ整えていくことを大切にしています。

こんな方は一度ご相談ください

  • 朝の一歩目にかかとの上あたりが痛む
  • ふくらはぎがいつも硬く、冷えを感じやすい
  • 動き始めると楽になるが、長く動くと違和感が戻ってくる
  • スポーツ後の回復が遅くなってきたと感じる
  • 足元から全身の疲れやだるさが続いている
  • 足首が冷えやすく、むくみが気になる

身体の声に耳を傾け、一緒に状態に向き合いましょう。

まとめ

アキレス腱症は、繰り返しの負荷と回復不足、そして気血の巡りの滞りが積み重なった状態と考えることができます。近年の研究では、エキセントリック運動などの特定の運動アプローチが腱の回復に関わる可能性が示されており、手技・鍼灸と組み合わせながら丁寧に身体の状態を整えていくことが大切です。

かかとの上の違和感や、慢性的なふくらはぎの重だるさが続いているなら、ぜひはくさん和鍼灸整骨院にご相談ください。身体の声に耳を傾けるところから、一緒に始めていきましょう。

参考文献

Prudêncio DA, Maffulli N, Migliorini F, et al. “Eccentric exercise is more effective than other exercises in the treatment of mid-portion Achilles tendinopathy: systematic review and meta-analysis.” BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. 2023;15(1):13. DOI: 10.1186/s13102-023-00618-2. PMID: 36698184. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36698184/

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