靭帯や腱への理解が、痛みを解きほぐすカギ

2025年09月19日

神奈川県横浜市緑区白山にある接骨院&鍼灸院。はくさん和鍼灸整骨院です。(最寄駅は鴨居駅と中山駅です。)

慢性的な痛みや関節の違和感を訴える方の多くが、「筋肉が固いからだろう」「関節がすり減っているのかもしれない」と考えます。しかし実際には、靭帯や腱の状態が大きく影響しているケースが少なくありません。

腱や靭帯は力を伝え、動きを安定させる組織です。その働き方は単純ではなく、細胞レベルで外部からの刺激に反応し、組織を作り替える性質があります。2006年に発表された Wang のレビュー論文では、腱が持つ階層的構造と、その力学的性質、さらには細胞応答の仕組みが詳しくまとめられています(Wang, 2006)。

腱の構造と階層性

腱はコラーゲン線維が束となり、それをさらに束ねた「線維束(fascicle)」、その間に存在する腱細胞(tenocytes)という多層構造でできています。この階層性があるからこそ、強靭さと柔軟性を兼ね備え、私たちの動作に耐えられるのです。

しかし、繰り返しのストレスや不適切な休養が続くと、この秩序が乱れ、柔らかさを失ったり、滑走が滞ったりします。

力に対する性質

腱は「強いけれども繊細な組織」です。
• 引張強度:どのくらい引っ張られても切れないか
• 弾性率:どのくらい伸びて戻るか
• 粘弾性:時間によって変形の度合いが変わる

こうした特性によって、「長時間のしゃがみ姿勢」や「繰り返す作業」など日常のクセが、腱や靭帯に特有の負担を生みます。

腱細胞の応答

腱の内部にある腱細胞は、外からの負荷をセンサーのように感じ取り、コラーゲンを合成したり、分解したりする働きをしています。これは“トレーニングすれば強くなり、使い方を誤れば壊れていく”という事実の根拠です。

時間依存性のふるまい

腱の変化は一瞬では終わりません。
• 長く引っ張ればだんだん伸びる(クリープ)
• 同じ長さで保持すると必要な力が減っていく(ストレスリラクゼーション)
• 負荷を取り除くとゆっくり元に戻る(リカバリー)

この「時間の要素」を理解することが、施術や運動指導の設計には不可欠です。

臨床で生かすポイント

当院では、腱や靭帯に対して以下を意識しています。
• 痛みの原因を「筋肉・関節だけ」と限定せず結合組織も評価する
• 一度に強い刺激ではなく、段階的に負荷を与える
• 日常動作や姿勢から、不要なストレスの原因を探す

腱や靭帯は「負荷のかけ方」によって健康にも損傷にも傾きます。その特性を理解したうえで、根拠ある施術と生活アドバイスを行うことが、回復への近道と考えています。

📚参考文献
• Wang JH-C. Mechanobiology of tendon. Journal of Biomechanics. 2006;39(9):1563–1582.

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