内側側副靭帯損傷をやさしく解説

2024年06月10日

1. 内側側副靭帯損傷とは

スポーツ選手などに多いとされる内側側副靭帯損傷ですが、これは膝関節の安定性を担保する重要な靭帯の一つが損なわれる故障を指します。日常生活ではあまり名前を耳にすることがないかもしれませんが、運動による過剰な負荷や外部からの衝撃によって、膝内部で起こる損傷のことです。
実は体の使い癖で起こることも多く、軽度のものを放置している人が多いがゆえに知名度が低いだけで実はかなりの数の方が痛みを感じている症状であると私は考えています。
今日はこの内側側副靱帯損傷について深掘りしてしるします。

1.1. 靭帯損傷の基礎知識

靭帯とは、骨と骨を繋ぎ、関節の安定に寄与する比較的頑強な組織です。靭帯は、伸びたり短くなったりする大幅な柔軟性を持たず基本的にはちぎれることはあっても伸びることはありません。この固さゆえに外部からの力がかかった際にはそれに抵抗するための強靭さを備えています。靭帯に想定を超える力が加わると、損傷のリスクが高まります。それは部分的に断裂したり、完全に切断するなどの異なる程度の損傷として現れ、痛みや腫れ、動きの制限などの症状を引き起こします。施術としては、安静、圧迫、冷却、挙上などが行われる場合がありますが、重度の場合には不安定性になることもあり注意が必要です。

1.2. 内側側副靭帯の役割と重要性

内側側副靭帯は膝関節の内側に位置し、脛骨と大腿骨を結びつける役割を担っており、膝の安定性を保つ上で大変重要な靭帯です。膝を曲げたり伸ばしたりする動作の際、内側側副靭帯は適切なテンションを保つことで膝関節に不必要なストレスがかからないようにしています。特に内側への不自然な力が加わった際には、膝が内側へ曲がるのを防ぎます。したがって、内側側副靭帯が損傷すると、膝の安定性が損なわれ、日常の動作やスポーツ活動に支障をきたす場合があるのです。

1.3. 損傷の原因となるメカニズム

内側側副靭帯の損傷は、膝に過度な内向きの力が加わった時、特に体重がかかった状態での急激な方向転換や、他の選手との接触による直接的な衝撃によって引き起こされることが多いです。このような力が加わると、靭帯が本来持っている耐久限度を超え、断裂するなどの損傷を受けます。また、膝が外側に強く押された際に内側側副靭帯に過剰なストレスがかかり、同じく損傷を引き起こすことがあります。予防策としては、筋力トレーニングによる支持筋肉の強化や、適切なストレッチ、ウォームアップが重要になります。
また、急性外傷でなく内側側副靱帯を痛めるケースでは、日々の使い癖や股関節、足首の角度によって膝に負担をかけ、内側側副靱帯を痛めてしまうこともあります。

2. 損傷の症状と見分け方

身体に痛みや異常を感じる時、「それがただの筋肉の疲れなのか、それとも何らかの損傷が生じているのか」を見極めることは極めて重要です。体のどこかに不調を感じたとき、適切な対処をするためにも、症状の特徴をしっかり理解する必要があります。今から、各症状ごとにどのような特徴があるのか、どういった見分け方が有効なのかを解説していきます。

2.1. 痛みの特徴とその位置

痛みは、損傷を知らせる重要なサインです。例えば、関節や筋肉に鋭い痛みを感じる場合、捻挫や筋肉の断裂が考えられます。また、位置によっても痛みの原因は異なります。足の痛みであれば、足首の捻挫やアキレス腱の問題が、手の痛みでは腱鞘炎や関節炎が考えられるでしょう。
内側側副靱帯損傷ではその名の通り膝関節の曲げ伸ばしされるヒンジの部分(膝関節裂隙)の内側に強く触ると痛みが出ることが多いです。

痛みの種類を知ることも大切です。例えば、関節内で感じる深く鈍い痛みは関節炎のサインである可能性があり、鋭く点状の痛みは骨折やひびの可能性が考えられます。痛みが持続するのか、動かした時に限定して現れるのかも、評価への重要な手がかりになります。
内側側副靱帯損傷では重症度が軽度であれば動かしても痛くないケースがありますが、中等度になると膝の曲げ伸ばしでも痛みを感じ、重度であれば膝関節の不安定感を感じることもあります。

2.2. 腫れや動きへの影響

損傷の症状として、腫れは非常に目立つものです。腫れは、体が損傷部位に対して反応している証拠であり、特に捻挫や打撲などの外傷の際に見られます。腫れには熱を伴うこともありますし、色が変わることもあります。これは血液循環の変化や炎症反応が原因であることが多いです。

また、損傷は動きにも影響を及ぼします。痛みや腫れによって可動域が制限されることがありますし、骨折の場合はその部分を全く動かせなくなることもあります。普段の動作で問題なくできる範囲が急に狭まったり、力が入らなくなったりする場合は、何らかの損傷が起きている可能性が高いと言えます。
内出血は時間の経過とともに重力によって下に下がっていきます。
痛めた箇所を正確に知るのを、この内出血の移動が撹乱することがあります。ご自身で評価を試みるときは、前述の通りまずは触って痛い位置を確認するのがいいかと思います。
腫れや内出血があるときはまずはよく冷やして痛みのある動きは避けましょう。
痛いまま動かし続けると上手く修復せず、悪化するばかりか、靭帯の部分断裂部位が広がっていき、不安定性が残ってしまうこともあります。

3. 正しい初期対応の手順

けがをしたとき、その後の回復を左右するのが初期対応です。適切に行うことで、症状を悪化させることなく早期回復につながるのです。そこで不可欠なのが、適正な応急処理のステップを知り、正確に実践することにあります。まずは落ち着いて状況を把握し、手順に沿って対応していきましょう。

3.1. 損傷直後の応急処置

けがの直後は、できるだけ速やかに応急処置を行い、損傷部位を保護することが求められます。ただし、慌てて不適切な処置をしてしまうと、かえって症状を悪化させてしまうことがありますので、慎重に行う必要があります。まず、安全な場所に移動し、損傷部位を高くして痛みや腫れを最小限に抑えます。そして、冷却材を用いて冷やすことで、内出血や腫れを抑える効果を期待できます。損傷部位が汚れている場合は、清潔な布で拭き取り、衛生的な状態を保つようにします。これらの応急処置は、症状が落ち着くまで適宜行ってください。

3.2. RICE処置の重要性

RICE処置は、損傷直後の施術法として非常に重要です。これは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、怪我をした部位の回往診に役止ます。安静にすることで負担をかけずに済みますし、冷却は腫れや痛みを軽減します。また、圧迫できちんと固定することで、不要な動きを防ぎながら損傷部位を守ります。さらに、挙上をすることで、余分な血液や体液の流れを改善し、腫れを減らすことが可能です。これらの処理を適切に行うことで、痛みを和らげるだけではなく、施術により早く移行するための下地を作ることにもなります。

3.3. いつ整骨院を受診すべきか

初期対応をおこなった後、なるべく早く整骨院の施術と検査を受けましょう。たとえば、骨折や脱臼などが一緒に発生していることや、隠れた損傷があることがあります。損傷の程度が判断しみにくい場合や、損傷部位に異常な感覚を感じたら、迷わずはくさん和鍼灸整骨院へお越しください。
自己判断で修復が盛んな最初の時期を逃してしまうと、痛みや不安定感が良くならなくなってしまうこともあります。

自己判断で処置を続けるよりも、整骨院の施術を受けることで早期に良くすることができ、症状の残存を避けることが可能です。

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