股関節の硬さと姿勢の関係 ― 高齢者や運動不足の方に多い背景とは

2025年09月1日

神奈川県横浜市緑区白山の整骨院、はくさん和鍼灸整骨院です。

(ららぽーと横浜から車で約10分です。)

「股関節が硬くなって正座やあぐらが辛い」「お尻の筋肉が張って柔らかさがなくなってきた」――そんな声を患者さまからよく伺います。

こうした症状は単に筋肉が衰えたからではなく、身体の感覚と姿勢制御の仕組みの変化が深く関わっていることが研究によって示されています。今回はその背景を少し専門的に解説しつつ、日常生活でできる工夫をご紹介します。

バランスを支える3つの感覚

 • 視覚:目で確認する情報

 • 前庭感覚:内耳による平衡感覚

 • 体性感覚:足裏や関節からの位置感覚

この3つのうち、特に「体性感覚」が低下するとバランスの取り方に変化が起こります。

足首主体から股関節主体へ

姿勢の安定には2種類の戦略が存在します。

 • 足首中心の戦略:細かく足首を動かして制御

 • 股関節中心の戦略:腰や骨盤を大きく使う制御

通常は足首を主に使いますが、体性感覚が落ちると股関節に頼らざるを得なくなります。

Horakら(1990)は、体性感覚を遮断すると股関節戦略が優位になることを報告しました。つまり「足首の情報が不足 → 股関節で代償」という流れです。

高齢者や運動不足の方で見られる特徴

 1. 感覚の鈍化

 崎田(2010)は、高齢者では筋紡錘など感覚器の働きが弱まりやすいと指摘しています。

 2. 股関節への依存

 Asghariら(2025)は、若年層と比べ高齢者では股関節の感覚が姿勢制御により大きく影響すると報告しました。

 3. 筋肉の固め反応

 Kanekarら(2014)は、高齢者が姿勢を崩さないために拮抗筋を同時に働かせる「共同収縮」を使うことが多いと述べています。これが結果的に筋の柔軟性低下につながる可能性があります。

実際の症状イメージ

 • 歩幅が狭くなる

 • 腰やお尻が常に張っている

 • 股関節を動かすと詰まる感覚がある

 • 足首の動きが固い

これらは、まさに研究で示された「感覚低下 → 股関節戦略 → 筋緊張」の流れを反映しています。

改善のためにできること

 • 足首の運動:つま先上げ・踵上げなどで足首を積極的に動かす

 • 股関節のストレッチ:腸腰筋や殿筋の伸ばしを習慣化

 • 姿勢反応トレーニング:軽いバランス刺激に対応する練習

当院では、こうした日常の工夫に加えて、鍼灸や手技療法で筋緊張をやわらげ、関節運動を引き出す施術も行っています。

まとめ

 • 体性感覚の低下は股関節戦略を強め、筋の柔軟性低下を招きやすい(Horak 1990, Asghari 2025, Kanekar 2014, 崎田 2010)。

 • 高齢者や運動不足の方に多い「股関節の硬さ」は、姿勢制御の変化が背景にある。

 • 運動・ストレッチ・施術を組み合わせることで予防や改善が可能。

日常生活の中で「股関節が硬い」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

引用文献

 1. Horak FB, Nashner LM, Diener HC. Postural strategies associated with somatosensory and vestibular loss. Exp Brain Res. 1990.

 2. Asghari H, et al. Aging changes proprioceptive contributions to balance recovery. Eur Rev Aging Phys Act. 2025.

 3. Kanekar N, Aruin AS. The effect of aging on anticipatory postural control. Aging Dis. 2014.

 4. 崎田哲也. 高齢者の固有受容感覚と姿勢制御. 九州大学学術リポジトリ, 2010.

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